【福岡】反張膝とは?脳卒中後に膝が反る原因とリハビリ方法を現役理学療法士が解説

脳卒中後、「歩くときに膝が後ろに反ってしまう」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
このような状態は「反張膝(はんちょうしつ)」と呼ばれ、筋肉の緊張や筋力低下、感覚の低下など、さまざまな要因が関係しています。
この記事では、反張膝の原因や放置するリスク、改善に向けたリハビリ方法について、現役の理学療法士がわかりやすく解説します。
FIRST STEP石橋この記事は、福岡で自費リハビリを提供するFIRST STEPが、脳卒中(脳梗塞・脳出血)・脊髄損傷・脳性麻痺・パーキンソン病などにお悩みの当事者やご家族に向けて発信しています。
現役の理学療法士が、日々のリハビリ現場で得た経験と知識をもとに、歩行や身体機能、日常生活動作の改善に役立つ情報を分かりやすくお届けします。
反張膝(はんちょうしつ)とは?


反張膝とは、立っているときや歩いているときに、膝が通常よりも後ろに反りすぎてしまう状態です。膝関節は、まっすぐ伸びた状態を「0度」とし、それよりもさらに後ろへ伸びた状態を「過伸展」といいます。
脳卒中後は、麻痺による筋力低下や筋緊張の変化などによって、膝を適切な位置で支えることが難しくなり、反張膝が起こることがあります。
また、歩行中に反張膝が現れるタイミングは人によって異なります。たとえば、麻痺側の足を地面につけた直後や、麻痺側の足で身体を支えているときなどにみられます。
反張膝は単に「膝だけに問題がある」とは限りません。
股関節や足関節の動き、筋力、感覚なども関係しているため、身体全体の状態を確認することが重要です。
脳卒中後に反張膝が起こる4つの理由


脳卒中後の反張膝には、筋肉の緊張や筋力低下、感覚の低下など、さまざまな要因が関係しています。また、杖の使い方や歩行環境が影響することもあります。
ここでは、反張膝が起こる主な理由を詳しく解説します。
理由①:ふくらはぎの筋肉の緊張が強い
脳卒中後は、麻痺の影響によって下腿三頭筋(ふくらはぎの筋肉)の緊張が強くなることがあります。
ふくらはぎの筋肉の緊張が強くなると、足首が動かしにくくなります。
その状態で身体を支えながら前へ進もうとすると、膝が後ろに反りやすくなり、反張膝につながることがあります。



実際のリハビリでは、ふくらはぎの筋肉の緊張だけでは説明できない反張膝も多くみられます。そのため、なぜその緊張が起きているのかまで確認することが大切です。
理由②:身体の筋力低下や動きを膝で補っている
歩行には、膝だけでなく、足首や股関節、骨盤、体幹など、身体のさまざまな部分が関わっています。
脳卒中後の筋力低下や動きの制限によって、これらが十分に働かないと、その不足を別の部分で補う「代償」が起こります。たとえば、股関節や体幹の筋力が低下して身体を十分に支えられない場合、その不足を補うために膝を伸ばして安定させようとし、反張膝につながることがあります。
理由③:麻痺側の感覚が低下している
脳卒中後は、皮膚で感じる触覚や痛み、温度などの「表在感覚」や、関節の位置や動きを感じる「深部感覚」が低下することがあります。特に深部感覚が低下すると、膝がどのくらい曲がっているのか、伸びすぎているのかを把握しにくくなります。
実際に、脳卒中後の感覚障害と反張膝について、以下のように指摘されています。
「体性感覚障害例における膝折れおよび反張膝は,深部感覚受容器からのフィードバックの障害によって生じることが指摘されている」
このように、深部感覚が低下すると、歩行中の膝の位置や動きを正確に把握しにくくなります。その結果、膝の動きをうまく調整できず、反張膝につながる場合があります。
理由④:杖の使い方や歩行環境が影響している
反張膝には、身体の状態だけでなく、杖の使い方や歩行環境などが影響することもあります。たとえば、杖の高さやつく位置、タイミングが身体に合っていないと、姿勢や体重のかけ方が変わることがあります。
また、床面の状態などによって歩き方や身体の使い方が変化し、膝の動きに影響する場合もあります。
そのため、反張膝の原因を確認する際は、身体機能だけでなく、普段使用している杖や歩く環境についても確認することが大切です。



反張膝が起こる原因はさまざまですが、簡単にいうと、歩くときに膝を伸ばす方向へ強い力が加わることで、膝が後ろに反りやすくなります。


反張膝を放置するとどうなる?


反張膝は、単に膝が反って見えるだけの問題ではありません。膝が過度に伸びる状態が続くと、関節や周囲の組織に負担がかかり、痛みや歩きにくさなどにつながる可能性があります。
ここでは、反張膝を放置することで考えられる主なリスクを解説します。
膝の痛みや変形につながる可能性がある
反張膝では、歩行時に膝が本来の範囲を超えて後ろへ反るため、膝関節や靭帯などに繰り返し負担がかかります。また、膝が伸びきった状態で足をつくことで衝撃を十分に吸収できず、膝への負担が大きくなることがあります。
このような状態が長期間続くと、膝への負担が蓄積し、痛みなどにつながる可能性があります。
半月板に影響する可能性がある
反張膝と半月板の関係について、研究では以下のように報告されています。
「膝の過伸展角度と、非麻痺側の内側半月板体積(R=−0.53)、麻痺側の内側半月板体積(R=−0.57)、麻痺側の外側半月板体積(R=−0.70)との間に、中程度から強い相関が認められた」(筆者訳)
この研究では、膝の過伸展角度が大きいほど、麻痺側の内側・外側半月板の体積が小さい傾向が確認されています。
半月板は、膝にかかる衝撃を分散するクッションのような役割を担っています。そのため、反張膝が続くことで半月板の状態に影響する可能性があり、注意が必要です。
歩きにくさにつながることがある
反張膝は、膝だけでなく歩行にも影響します。
膝を反らせて身体を支える歩き方が続くと、左右で歩き方に差が生じたり、歩行速度が低下したりすることがあります。また、効率よく身体を前へ運びにくくなるため、歩くときに余計なエネルギーを使い、疲れやすくなる可能性もあります。
反張膝がみられても、必ずしもすぐに痛みや関節の変形が起こるわけではありません。しかし、長期間続くことで膝や歩行に影響する可能性があるため、早めに原因を確認し、適切な対応につなげることが大切です。



反張膝は「見た目の問題」ではなく、将来的に膝の状態や歩行、生活に影響する可能性があります。


反張膝に対して行われる主な治療・リハビリ方法


反張膝への対応には、原因や身体の状態に応じてさまざまな方法があります。主な方法として、以下のようなものが挙げられます。
・電気刺激療法
電気刺激によって足首を動かす筋肉などの働きを促し、歩行をサポートする方法です。足首の動きを改善することで、反張膝の軽減につながる場合があります。
・HALなどの外骨格構造を用いたロボット
ロボットなどを装着し、歩行時の関節の動きをサポートしながら歩く練習を行う方法です。適切な歩き方を繰り返し練習する目的などで用いられます。
・ボトックス注射
痙縮によって筋肉の緊張が強い場合に、ボツリヌス毒素を注射して筋肉の緊張をやわらげる治療です。反張膝の原因となっている筋肉の過度な緊張に対して検討されることがあります。
・装具療法
短下肢装具(AFO)などを使用して、足首や膝の動きを調整する方法です。歩行時に膝が過度に反るのを抑え、安定した歩行をサポートします。
FIRST STEPで行う反張膝への自費リハビリ
FIRST STEPでは、理学療法士が実際に身体に触れながら、関節の動きや身体の使い方を確認し、一人ひとりの原因に合わせて姿勢や歩き方を整えていきます。
反張膝へのリハビリを行う際は、主に以下のような点を確認します。
- 立っているときや歩いているときの、どのタイミングで反張膝が現れるのか
- 歩き出す前の立っている状態から、すでに反張膝がみられるのか
- 身体のほかの部分の筋力低下や動かしにくさを、膝を反らせることで補っていないか
- 足首を上に曲げる動き(背屈)が制限されていないか
- 杖をつく位置や高さが身体の状態に合っているか
反張膝は、同じように膝が反って見えても、その原因は一人ひとり異なります。
FIRST STEPでは、これらを丁寧に確認して原因を見極め、身体の状態や目標に合わせたオーダーメイドのリハビリで改善を目指します。



反張膝だけを見るのではなく、「今後どのように歩けるようになりたいか」という目標を一緒に考えます。身体に直接触れながら動きを確認し、人の手だからこそできる丁寧な関わりを大切にしています。


福岡の訪問自費リハビリ
FIRST STEP
ご自宅や施設に理学療法士がお伺いするマンツーマンの自費リハビリです。
「もう一度歩きたい」「家族との時間を楽しみたい」そんな想いに寄り添いながらあなたに合わせたリハビリをサポートします。
まずはお気軽にご相談ください
反張膝に関するよくある質問
反張膝への対応を考えるうえで、自分で確認する方法やサポーターの必要性について疑問を持つ方も少なくありません。ここでは、反張膝に関するよくある質問について解説します。
反張膝かどうかチェックする方法はある?
反張膝かどうかを自分で確認する場合は、鏡の前に横向きに立ち、膝が後ろに反りすぎていないかを確認してみましょう。家族などに横から見てもらったり、立っている姿勢や歩いている様子を横から動画で撮影したりする方法もあります。
ただし、見た目だけで反張膝の程度や原因まで正確に判断することは難しいため、気になる場合は医師や理学療法士などに相談し、身体の状態を確認してもらうことが大切です。
反張膝にサポーターは効果的?
反張膝では、サポーターや装具を使用することで、膝が過度に反るのを抑えられる場合があります。
ただし、脳卒中後の反張膝は、膝だけでなく、足首の動きや筋肉の緊張、筋力低下など、さまざまな要因が関係しています。そのため、膝用サポーターだけでなく、足首の動きを調整する短下肢装具(AFO)が用いられることもあります。
自己判断で選ぶのではなく、医師や理学療法士などに原因を確認してもらい、身体の状態に合ったものを使用することが大切です。
まとめ
この記事では、脳卒中後にみられる反張膝の原因や放置するリスク、主な治療・リハビリ方法について解説しました。
反張膝には、筋肉の緊張や筋力低下、感覚の低下など、さまざまな要因が関係しています。そのため、膝だけを見るのではなく、身体全体の状態や歩き方を確認し、一人ひとりの原因に合わせて対応することが大切です。
気になる症状がある場合は、医師や理学療法士などの専門家に相談しましょう。


福岡の訪問自費リハビリ
FIRST STEP
ご自宅や施設に理学療法士がお伺いするマンツーマンの自費リハビリです。
「もう一度歩きたい」「家族との時間を楽しみたい」そんな想いに寄り添いながらあなたに合わせたリハビリをサポートします。
まずはお気軽にご相談ください


コメント